母と二人で熱海温泉に。
生まれて初めての親子旅行である。
発端は「もう死ぬまでに旅行なんか行けるかわからないから、温泉に行きたい」という母の半分冗談めいた言葉だった。
そもそも、女手一つで子供三人を育てていた我が家では、家族旅行は僕が10歳の頃だったか。
戸田へ。その一回限りしか行ったことがない。
フェリーに乗り海を渡った記憶がある。
実はゴリゴリ世代なのにONE PIECEをろくに読んでいない、そんな僕でも、初めて端と端が見えない大海原の水平線見て野心や野望が湧き立ち、もれなく海賊になりたくなったのを昨日の事のように覚えてる。あの大海原は素晴らしかった。大海原って、わけもわからず夢や希望が広がっちゃうんだよ。
中一になっても男友達二人と三人で将来は海賊になろうと誓うぐらい、後遺症が残った。
母も70近くなり年を取った。
僕が中年なのだから、当たり前なのだが。
母の行動範囲内で、温泉に入れて、駅から送迎があるところ。それが熱海だった。
旅館のチェックインが15時なので、11時を目安に来てくれと伝えたが、10時過ぎには着くとのこと。いわゆる急だけど早く着いちゃうよアクシデントはおなじみ、オカン待ち合わせあるある。
だが、そんなもんは想定済み。
先読みしていて僕も1時間早く着いていたのだった。なんて出来た子なの。🧸✨
熱海駅に着き、なんとか母を捕獲。👩🏻🦱🧸💨
目を付けていた「藍花」で早々と茶をしばく。
Googleマップ通りに進んだら最初、裏の勝手口から入ろうとしてしまい母に止められる。危うく不審者になるところだった。そういうとこある。
クリームあんみつ、抹茶蜜が甘過ぎず、抹茶の風味もしっかりしていて美味しかった。コーヒーも◎。
あんみつを食べたら?とオススメしたが食べ過ぎたら昼ご飯が食べられなくなるから、という理由でコーヒーフロートを選択した母に、ちょっと味見するか?と聞いて差し出したら、じゃあ…と白玉ひとつだけ持ってった。トンビみたいな奪い方しよる。
昔ながらの歴史を感じる商店街をプラプラして、お土産などを見たりして。かなり歩いた気になったので、駅前にある天然温泉の足湯「家康の湯」で疲れを癒すべく浸かる。
ぬるめの湯が気持ちいい。
平日なのに観光客がかなりいて、寄ってたかって足湯に入っちゃ出ていく。皆、足疲れてるんだらな。熱海は坂多いもんな。
この日は気温30℃近かったのに、湯口から出る温泉は湯気がモウモウとしてたから、源泉はかなり熱いんだと思う。
湯口付近に座っていたアクティブなおばちゃんが何度も湯口の温泉を熱そうにチョビチョビ触っていた。…相当、熱いよね。どうしても触りたいんだらな。気持ちはわからなくもない。
足湯を後にし駅ビルの「伊豆太郎」でランチ。
揚げたてのカマスフライはホクホク、何もつけずに食べるのが一番美味かった。
海鮮丼も美味しかったし、地金目の刺身も身が柔らかく脂のりもなかなか。
地金目は冬が美味くて、尚且つ煮付けが一番美味い。刺身とかしゃぶしゃぶもあるが、とにかく煮付けが一番美味い。ご飯が止まらなくなる。地金目の煮付け目当てに、伊豆旅行してもいいレベルだと思う。カップルならポイントアップ間違いなし!
その後は駅ビルの土産物屋を見て。
迎えが来るまでの間の時間潰しとして「CAFE KICHI」でまた茶をしばく。
古民家カフェ。雰囲気もいいしソファーの座り心地がすごく良くて、一瞬寝落ちした。雨音のタップが聴こえて良かったな。小説書けそう。
ジンジャーエール、めちゃくちゃジンジャー🫚しててかなり良かった。
甘さの中にも容赦ない生姜の鮮烈さとか辛味を感じたい方、是非注文して欲しい。
キンキンに冷えてるんだけど身体の中はあったまるような、不思議な感じ。
そんなこんなでお迎えの時間。
送迎車に乗り込みシートベルトをしめ、隣を見たら母がシートベルトの留め具がないのだとアタフタしていた。そんなはずないと探しても見つからなかったようで、最終的にシートベルトをしめてる風に手で斜めにベルトを引っ張り続けていた。
マジ意味ないんだけど、そういう誤魔化し方もあるのだと学んだ。この年になってもまだ親からは学ぶことがある。
到着するやいなや、貸し切りの屋上露天へ。
あいにくの天気だったが晴れ間もあったりでちょっとだけ海が見えた。戦艦みたいな船の汽笛も聴こえていい感じ。日が合えば花火なんかも見えるらしい。ちなみにこの写真は全裸で撮られたシュールな写真であり(言わなければわからない)これも貸し切りだから許される件。
湯上がりで部屋に戻り、畳の上でゴロゴロしてたら爆睡してしまった。畳の程よい柔らかさ、気持ちいい。いびきかいてたよ、という母の指摘に自らの年を感じるがそうなんだ〜と流して聞かなかったことにする。煎茶を飲みながら談笑しつつ、あっという間に夕飯の時間。
魚も肉も美味しかった。
特にご飯が炊き立てで最高に美味かった。
やっぱり米が美味いのはいい。
夕食後、二度目の家族用温泉へ。
熱めの湯が気持ちよかった。熱海温泉はナトリウム含有量が多く、塩っぱいらしい。全然感じなかったな。風呂上がりのガリガリ君は鉄板。
うますぎる。ガリガリ君、食べるの遅いとかマイベイビーガール👶によく言われるが溶けかけが美味いんだよ。溶け待ちしてるから。溶けかけたのを食わなきゃガリガリ君の美味さは語れない。吸いながら食べるのがプロ。
朝食も部屋食で、米が美味くてご飯を山盛りでおかわりしまくり、おひつのご飯を空にしてしまった。 余ったらおにぎりにしてもいいんですよ〜なんて女将さんが言ってたけど、おにぎりにしても相当美味いと思う。釜炊きの米は最高だった🍚🧸🎶
チェックアウトしてまた、駅周辺をプラプラした後、昼飯を食べに「雨風本舗」へ。
カウンター六席のみの激狭い、赤のれん系ラーメン屋。鋭い目のイカつめの大将が一人でテキパキと切り盛りしてるが、喋りや物腰は柔らかく好印象。美味い予感がする。
醤油ラーメンと半チャーハン。
チャーシュー麺とか大盛りはやめといた。
なぜなら食べる前に隣から母の麺パスがあるからだ。最早お互いに黙って丼を差し出すぐらいには連携が取れている。👦🏼🍜🍜👩🏻🦱💬
(でもチャーハンは食う)
昔ながらの中華そば!って感じでスープも出汁が効いていて、中太ちぢれ麺もコシがあって美味かったし、こんな激狭な場所なのにとても丁寧に作っている味がした。チャーシューも美味しかったし、チャーハンもちゃんと炒められていて香ばしかった。
熱海プリンとか新名物も沢山あって、町おこし的な感じで頑張っている印象。
また来たいなと思える旅だった。次は後楽園ホテルとか、ニューアカオとか、古くからの有名ホテルに泊まってみたい。
駅の改札で見送ったが、颯爽と消えていった。
本人はしんどくなってきた、と弱音を吐くようになったがまだまだ足腰は丈夫そうに思える。
母、長生きしてくれよな。